保育と教育のこれから-塩原祥暁

現場から見た保育や教育の現状、子どもの姿、親の育児不安・・・ そしてこれからの 保育と教育の在り方について書いていきたいと思います

2016年03月

7人の卒園式

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昨日は日頃から指導で出向いている保育園の卒園式に行ってきました。
東京の山間部にある奥多摩町。ここが東京?東京にもこのようなところが存在するのかと思うようなところですがそこに保育園があります。
4月当初7人の子どもたちは自分の意見を言うことすら、遠慮がちでした。それは少人数の弱点でもありました。お互いがお互いを分かってるつもりだったのです。その環境が必要以上の言葉を交わさなくてもやり取りができてしまっていたのでしょう。
しかし、私はその出来上がっていた環境を壊すことに着手しました。
今はそれで良いのかも知れませんが、それは7人の環境だから。私が常に目を置くところは社会に出てから。
そうすると言葉が必要です。人間関係が広がりいろいろな人がいます。だからこそ、言葉でやりとりすること、言葉で気持ちを伝えること、言葉を聴くことを一年通してやってきました。
その結果が卒園式で見られました。名前を呼ばれた一人ひとりが「大きくなったら…」とそれぞれの夢を発表してくれました。人前で自分の言葉で堂々と。目指してきたものが身に付いたのだなと感心しました。教育は少数でも良いこと、悪いこと。多数でも良いこと、悪いことがあります。そうなるとその環境を活かして何を身に付けさせたいかを判断し実行するのは指導者です。
7人の夢が現実になることを願っています。

教育の場へ

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保育園、保育士の問題がここのところ連日取り上げられ、国も本気を出せばこんなにもスピードアップして対策に乗り出せるのに、一体今までは…?と思ってしまいます。
さて、保育士の待遇や金銭の問題ですが、社会の保育に対するイメージを変えなければ本質的には何も変わらないような気がします。
それは、「預かる場」から「教育の場」ということになるのだと思います。
保育園では養護と教育の一体化という位置付けがあります。福祉から教育という土台をつくる必要があると考えています。
現実的に預ける場、女性の仕事という認識ではなくなっています。教育の専門職というイメージ作りをしていくことが地位向上に繋がるように思います。

無駄と思えることをし続ける

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人間味が現れるのはいろいろな意味で「あそび」の部分があるかないかです。この「あそび」の部分を指すのは育ちの環境でいろいろなことに食いつき、いろいろなことに興味を持ち、いろいろなことを実際やってきたかということです。
もちろん一つの道を極めていくことは大事ですしかし、その道を極めていく過程で「あそび」の余力があれば尚更深まります。
というのも無駄だと思うことは結局無駄じゃないのです。
一つの考え方になってしまうかも知れませんが、後で振り替えるとあのとき無駄だったなと思えることは意外と役立っている時があります。
人間としての価値をあげるにはこれだけ、効率化、生産性、時短の時代で無駄ができるかだと思います。

保育士不足は処遇改善だけの問題?

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保育士不足は処遇だけではないのですよ。ここを誰もわかってないですよ。
もちろんこの問題も含まれていますが、一番は職場の人間関係ですよ。保育園自体が魅力ある職場じゃないからですよ。
私は養成校に勤めて、現場にも出向いて子どもにも向かい合っているから現場も、保育士のことも両面見ています。そうすると、そりゃ不足するよなぁってことがよくわかります。先日も一億総活躍担当相が園を視察しているところをニュースでやってましたが、そういう時は体制整えているから疲弊していないのですよ。本当の現場はそうじゃないのですよ。
高齢者に一律三万円支給はすぐに決められるのに、保育士に不足に対する対策金が直ぐに出せないのはなぜですか?
どちらも訳3,600億円で同じくらいの予算なのに。
保育は魅力ありますよ。やり方次第です。それには園も変わる必要があります。だって新卒で現場に出ていく人たちはみんな、こうしたい、こんな保育士になりたいと夢をしっかり持っているんですから。
その人たちを「もう保育士やらない」とさせてしまっているとしたら一番の罪かもしれません。

皆勤賞

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昨日、毎週金曜日に開催しています幼稚園の課外教室が修了しました。年間38回開催していますがその中で2名のお子さまが皆勤賞でした。これはなかなかできることではありません。幼児の場合、送迎や体調など様々な要因が起こりやすいからです。
一言で皆勤すごいねでは片付けることができないのです。
この幼稚園の素晴らしいところは一度入会すると途中で退会する子がいません。(もちろん、転居などは別です)
子供の習い事はいろいろさせてあげるといいと思います。それは可能性という種まきの時期だからです。私が最近思うことは始めたならば最後まで続けるということです。これが一番大事です。
今は親御さんの思いもあって習い事をしていることもあるかもしれませんが、嫌だから辞める、大変だから辞める、つまらないから辞めるを繰り返していると実は大人になったときに影響が出ます。
嫌なら辞めるを繰り返していると社会に出てもやり遂げる達成感がないので、すぐに辞めるという選択肢が頭に浮かんでしまいます。
この時期に継続するという所にも意識を向けるといいと思います。
もちろん人間関係の悩みで無理に続けることは避けなければなりません。ここだけはお間違えのないようにしてください。

ちなみに2名のうちの一人の子は年中、年長と2年間皆勤賞です。これはすごいとしか言いようがありません。
お母様からは金曜の習い事だけは皆勤をとるというモチベーションの元で体調を整えて頑張ったそうです。こういうお子さまがいるということと御家族に拍手を送りたいです。
もう一人の子はお母様がお仕事をされていて、おばあさまが送迎をされていました。このように幼児の習い事は周囲に支えられなければできないことなのです。


保育の魅力

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保育園を作ることだけに目を向けられていますが、そこで働く人も必要になります。そしてそのために緩和されて出されたものが教員免許所持者でも保育をできるようにした特例です。このようなことは新たなモノへ向けられた目です。しかし、私が目を向けたいのは既存の保育園です。保育士不足は慢性的な課題です。働きたくない理由に賃金問題や労働問題が挙げられています。これが解決すれば本当に働く人が増えるのか…。これってわからないと思います。100%増えるという補償ありますか?
現場で働いている人の離職理由には人間関係に悩み辞めていく人の方が多いと感じています。今の保育士ってやる気意外とあるんですよ。みんな良いもの持ってるんですよ。しかし、もし保育の道に就きたくないという思いに保育園がしているとしたら、保育園って罪だと思いませんか?そして意外と現場で潰されている人が多いです。(賃金や労働面で悩んで辞める方もいますが)現場でどれだけ保育の仕事の魅力を伝えられていますか?
本当に新人を園でしっかり育てていますか?みんな原石で磨けばキラキラしますよ。
このような問題が現実です。しっかり、取り組んでいる園に紹介して連れていくと、一度潰れた保育士でも再生します。そうやって救ってきた当人だから、よくわかります。
というように保育士不足は賃金や労働の問題のみならず魅力ある保育内容にしていないことも理由の一つです。
新人の保育士でも一人でクラスを任せても大丈夫な人はいっぱいいます。それを見抜く目をもつことも保育園では必要なことです。
About
塩原祥暁
1981年7月18日生まれ

国立小学校受験向けの幼児教室を都内で開く。保育士を目指す学生たちにも教鞭を執る。
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