保育と教育のこれから-塩原祥暁

現場から見た保育や教育の現状、子どもの姿、親の育児不安・・・ そしてこれからの 保育と教育の在り方について書いていきたいと思います

2015年11月

熱意は伝える?伝わる?

昨日は保育者養成校での授業がありました。クオーター制度を採っている為3Qの終了日です。そして定期試験。試験問題を作るのも実は一苦労です。多くの質の高い保育者を育てたいという思いを込めて試験問題は作成しています。その中で、事あるごとに私が問うのは「今までの人生の中で心に残っている先生」について自由に記入してもらいます。これは非常に良い収穫ができます。生徒は「こんな所を見てるんだ」とか「こういう事が心に残るんだ」となるからです。そして先生は煙たい存在に扱われますが、誰にとっても心に残る先生がいるんだなと改めて先生や保育者の存在が大切であると気付かされます。
大げさに言えば先生の一言によってその後の人生も左右することがあります。皆さんは心に残る先生はいますか?そしてそれはなぜですか?そんなことを改めて考えてみるのも良いかも知れません。
 さて、タイトルにもしましたが、熱意は伝えるものなのか伝わるものなのかどちらなのでしょうか。私は最近まで伝えるものだと思っていました。
 
しかし。。。どうやら伝わるもののようです。手前味噌になりますが、園での指導でも「先生は熱意がある」と仰っていただけます。そして今回学生にも授業の感想を書いてもらいました。これは自分自身の指導に活かしたいので正直に書いてもらってます。
その中で「先生の保育に対する熱意・・・」とか「先生は熱のこもった暑い授業をしてくれた」(この学生は誤字だと思います)いや、このように暑苦しい授業だったのかも(笑)「先生は熱血っていう感じで本当に子どもが好きなんだと伝わった。」などと書いている学生がいました。ということは伝えるものではないのだと改めて思いました。確かにこんなこと意識してやっていたら胡散臭いです。

熱意は必ず伝わるのだと。それは大勢でなくてもいいのだと思います。たった一人でも伝わればそれは伝染していくようです。コツコツやるしかないですね。

DSC_0609

保育士不足解消への一歩となるか

f189a67e.jpg
今朝の新聞に厚労省が来年度から期間を限定で(期間は未定)幼稚園教諭、小学校教諭なのど資格保持者を対象に研修を受け、現場で勤務できるようにするという記事がありました。
小学校教諭免許保持者は5歳児、幼稚園教諭免許保持者は3~5歳児を見られるようにするので限られてはいます。
しかし、検討会の参加者からはここまで成り手がいない背景には命を預かり責任が重い職務にも関わらずやはり、賃金の低さが指摘されたそうです。この仕事は子育ての一環と見られるから社会的地位が上がらないのでしょうか?子育ては資格がなくてもできるから、そのように扱われるのでしょうか?
現場では一生懸命な方がたくさんいます。どうか社会全体で声をあげていきたいものです。

保育士待遇改善への一歩

c6c0bc02.jpg
厚生労働省が保育士の人材確保と待遇改善に向けた検討会議を立ち上げました。
そうです。箱ばかりができあがり、そこで働く人がいないのです。
それは待遇面で敬遠してしまうわけです。潜在的には70万人近くの方が資格は持っているみたいです。それなのに人材不足ってことは、いかに仕事の内容と賃金のバランスがとれていないかがわかります。
現場で働く先生方は一生懸命で有り難いと感じています。
1億総活躍社会というならばなぜ、人間の根本、基本を培う保育士に光を当ててこないのかと思っています。

年一回の資格取得の保育士試験で全ての教科を一回で合格するのはかなりのハードルです。(来年度からは年に2回で検討されています)
幼稚園教諭免許取得者や教員免許取得者に向けて、資格取得の簡素化をすれば、人材も増えるような気がします。それは教育や保育に対する業界のアレルギーが少ないはずだからでし。(現在では幼稚園教諭免許取得者は受験科目の免除と実技免除があります。)
もっと柔軟に対応でもよい気がします。

第二回保育のまなびを終えて

 11月7日土曜日 東京都西多摩郡奥多摩町にあります古里保育園の会場をお借りして「保育ワークショップ」を開催しました。
 やはりここは遠い・・・。でも私は訴え続けました。良いものは自分の近くにはないと・・・。
当日は、1時間~2時間半かけてお越しになった方たちでした。そしてこの取組みは園の職員が講師を務めてくれました。
簡単に古里保育園を紹介しますが、ここの園はとにかく園長先生がエネルギーに満ち溢れています。そして職員同士のコミュニケーション、まとまり、笑顔、どれをとってもプロだと思える保育者がいます。

初めは子どもたちと外で遊びその後は朝の体操です。
それが終わると子どもと先生が一緒にゲームあそびをしました。大人も真剣!そう、この保育園は大人が常に真剣です。

終了後、室内で歌唱指導法の演習です。「♪大きな歌」「♪漕げよマイケル」「♪手遊び大工のキツツキさん」をやりました。他の研修で教わってきたことも披露してくださり、それを全員で合唱です。そんな時も全力で楽しめちゃうんです。

盛り上がってきたところで、次は製作です。「ンデベレペイント」といってマスキングテープを使っての模様づくりです。これは楽しい!実際に行えたことがまた、楽しい。

まだまだ続きます。紙皿を使って「不思議な風船」というものを作りました。これはストックしておくと良いこと間違いなしです。

次は廃材(牛乳パック)を使ったあそびです。牛乳パックに切り込みを入れて輪ゴムをかけます。ぴょーンと跳ねてこれはまたみんなで遊びました。

さあいよいよ給食(軽食)です。初めの予定ではおにぎりと、郷土料理の華風汁と決めていたのですが、一品追加してから揚げも出ました。最高においしい!!

これで盛りだくさんなのですが、食後に「3びきのこぶた」という手遊びを披露してくれました。みんなで手遊び。こういったものも楽しいです。

最後はバター作りです。ペットボトルでおいしいバターを作るコツはただ、シェイクするのではなく、BGMにあわせて踊り、ダンスをしながら行うとのことで、全員が踊りながらシェイク!!完全に保育園の職員に煽られて大爆笑でした。

最後に参加された方からの感想を一部紹介します。
・職員の楽しそうな雰囲気に驚いた
・職場が変わればと考えていたが、自分から変わってみようと感じた。
・第一の感想はとても楽しい研修だった。
・他の保育園の椅子に座り、先生の話を聞き、製作をするなんてなかなかない機会で新鮮だった。
・研修ってどうしても堅いものも多くて勉強というイメージが強くてここに来るまでもそんな気持ちだったが、終わった今早くさまざまな事を学べたので、保育をしたいという思いになった。
・製作も持ち帰ることができてどれも使えるものばかりで感動の1日だった。
・私のように保育園は楽しいんだと気づける人たちがこのワークショップをきっかけに増えることを願います。
・先生方が自然と笑顔になっったり踊ったりしている姿を見て誘われるかのように、私も一緒に踊っていました。

古里保育園が特別なのではなく、ここは保育に関する宝箱です。DSCN2801






指導者という呼び方

b75a2831.jpg
この問題については賛否両論あると思います。幼稚園は学校という位置付けにあります。そのためか指導という言葉にアレルギーはあまり感じません。一方で保育園では指導という言葉に対して抵抗を感じる方もいるようです。
しかし、日常の保育の中で行っていることは指導に近いこともあります。
そう、日本の就学前における環境はこうも違うわけです。同じ年齢の子でも保育園か幼稚園かで違うわけです。それに、学校みたいに、ある程度のものが決まっていないので、園によってまちまちです。あそび保育、自由保育、設定保育いろいろです。その環境で育ってきた子が一斉に集まる小学校一年生のクラスで問題が起きない方が不思議だと思ってしまいます。
日本の幼児教育は義務教育ではないと言ってしまえばそれまでです。
指導することで身に付くこともあります。「保育をする」の意味合いには指導するという意味合いも含ませていけられたら変わると思います。誰のための保育、教育なのかこれこそ常に考えなければならないキーワードかも知れません。
About
塩原祥暁
1981年7月18日生まれ

国立小学校受験向けの幼児教室を都内で開く。保育士を目指す学生たちにも教鞭を執る。
Twitter
お問い合わせ
おすすめ記事